経営課題の解決に役立つ効果的なフレームワーク3選!!
近年、政府の景気刺激策が大胆に打たれていますが、景気が好転している実感を持てない状況が続いています。大幅な人員削減や事業撤退さえ強いられる企業もある中、企業は会社経営を成功に導く必要があるでしょう。
経営者は常に自社の経営課題を探し出し、たとえ小さな経営課題であっても速やかに解決する努力が必要です。そこで今回は、経営課題に関して課題解決に活用できる「フレームワーク」を3つ紹介します。
■フレームワークとは
「フレームワーク(framework)」は、「枠組み」「構造」といった意味の英単語ですが、ビジネスでいう「フレームワーク」とは、新しい発想や分析を効率化するための考え方やメソッドに落とし込んだツールのことをいいます。
経営戦略に必要な現状分析を示す手段
「会社はいま何をすべきなのか」経営戦略を立てるために現状を分析する必要があります。しかし、分析するファクターは無数にあり、重要なことは何か、どこから手をつければよいかなど、判断がつかないのが実情です。
そこで役に立つのが「フレームワーク」であり、会社の現状分析とそれに基づく経営戦略の立案に一定の方向性を与えることができます。ビジネスの現場では数多くのフレームワークが使用されており、目的や状況によって使い分けることで、業務フローを大幅に効率化できるケースがあります。
代表的なフレームワーク
ビジネスパーソンに必須の代表的なフレームワークの種類を、対象者と目的別に表します。
チーム・グループリーダー | 管理職・役職者 | 経営者・取締役 | |
汎用性が高い基礎スキル | 5W1H | 6W3H | |
現状や原因分析 | ロジックツリー分析 | ||
目標達成のパフォーマンス向上 | PDCAサイクル | ||
分析力アップ | 3C分析 | SWOT、PEST | VRIO、5forces分析 |
事業戦略の策定 | TOWSマトリクス | ||
経営資源の最適配分を策定 | 製品ライフサイクル | PPM、7S | |
顧客目線のマーケティング戦略 | 4P分析、4C分析、AIDMA |
■経営課題を解決するフレームワーク3選
代表的なフレームワークから厳選した3つのフレームワークを紹介します。
PDCAサイクル
ある施策に関して「計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)」の四つのサイクルを繰り返しながら、その施策をブラッシュアップしていく手法になります。PDCAサイクルを実際に遂行するには、かなりの労力と意思の強さが必要です。さまざまなビジネスシーンで活用されますが、実は経営戦略の策定にも役立ちます。
経営戦略は中長期的な計画になりやすいため、実行をしている最中に状況が変化したときには、評価をした後に戦略を改善する機会を設けることが重要です。また、PDCAサイクルは策定した戦略を元に繰り返し行うため、新しいアイデアが生まれにくい弱点があります。
そのため効果が表れない場合は、策定した戦略自体を見直す必要があります。PDCAサイクルはすべての課題解決のための必須プロセスですので、ぜひ使いこなせるようにしましょう。
VRIO分析
VRIO分析は内部環境分析であり、自社が他社と比較してどういった価値を見出しているか、自社の製品・サービスが競合優位性を有しているかなどを確認するツールです。そして、足りなければどういった対策を取らなければならないかなど、自社を内部から見つめ直す強みを持ちます。
保有する経営資源や能力に対して希少性を生み出す活動ができているか、他社に真似ができない商品やサービスを作り出せているかを以下の4つより該当するか分析します。
経済価値 (Value) | 経営資源の価値が見出されているか |
希少性 (Rarity) | 希少性が高く競合が参入しにくいか |
模倣可能性 (Imitability) | 商品・サービスが模倣される可能性は低いか |
組織 (Organization) | 自社組織が実行に問題ないレベルで構築されているか |
ほかの分析と違うところは、この分析は4つすべてが揃うことによって戦略として「実行」に値すると判断する点です。4つのそれぞれについて事業戦略上の経営資源についての有意性を確認します。企業としての優位性をより中長期に対して保ち、経営基盤を安定させるための分析となりますので、経営者の視点として常に意識すべきフレームワークといえるでしょう。
PPM分析
PPM分析は、企業が手掛けるそれぞれの事業において、どの事業にどれだけ投資するのかを判断するためのツールです。また、「市場成長率」と「市場占有率」から4つの象限に分類して事業の将来性を見定めます。
ちなみに「市場成長率」とは前年度と比較した市場規模での割合を表し、「市場共有率」とは商品やサービスの売上や市場規模からみた市場シェアの割合です。まず、PPM分析の4つの象限について解説します。
1.花形
投資を継続することにより大きな成長が期待できる事業になります。「市場占有率」が高いため利益が出しやすいですが、「市場成長率」も高いため市場競争も激しいです。
2.金のなる木
市場でのシェアや収益性の高い事業になります。「市場成長率」が低いため新しく参入する競合他社が少ない特徴があり、「市場占有率」が高いため安定的に利益を出すことが可能です。
3.問題児
利益が出しづらい事業になります。「市場成長率」が高いため市場競争は激しいが、市場でのシェアである「市場占有率」が低いため利益を生み出しづらい特徴があります。
4.負け犬
投資をしても事業の拡大が見込みにくい事業です。「市場成長率」が低いため投資を必要とせず、「市場占有率」も低いため利益も出ない特徴があります。
PPM分析は、メリットとして「事業ごとによる資金分配の最適化」や「事業撤退時期の予測判断」などが挙げられます。一方、デメリットとして「新しいアイデアを生み出す力」や「幅広い視点からの分析」が難しいツールです。
しかしメリットを活かし事業の投資に対して無駄を省くことができるため、効率よく事業を進める仕組み作りをするには最適なツールといえるでしょう。
■まとめ
経営者が抱える問題は多種多様であり、問題解決の方法を考案するには大変な時間と労力を使います。そこでフレームワークを使うことにより、経営者は時間と労力を抑えることができます。
しかし、フレームワークは問題解決の方法などをパターン化した現状分析のためのツールですので、
大切なのは企業のフィールドや特性にマッチしたフレームワークを選択することです。
そのためには、いくつか選定したフレームワークに基づき行動し、経験値を積み上げ増やしていくことを重要視するようにするとよいでしょう。