IT人材不足の背景とは?需要のある人材と高度なIT職種2選を解説

昨今どのような理由で、IT人材が不足しているのでしょうか。IT人材不足の背景は、労働人口の不足とDX化に対応できる人材の不足が挙げられます。

今回は、IT業界に興味のある方に向けて、IT人材が不足している背景や今後求められる高度なIT職種2選について解説します。

本記事を読みIT業界の現状や今後について知り、職業選択するうえでの参考にしましょう。

転職市場にも影響を及ぼすIT人材不足の背景
労働人口の減少
DX化に対応できる人材の不足
今後需要が高まっていくIT業界の職種
AIエンジニア
セキュリティエンジニア
高度なIT人材となり、自らのキャリアプランを描いていく

転職市場にも影響を及ぼすIT人材不足の背景

IT人材とは、サービスやシステムの開発運用などのIT知識をもった人材です。

経 済産業省が平成31年4月に発表した「 IT人材需給に関する調査」によると、2030年には、IT人材が79万人不足すると指摘されています。

ま た、株式会社パーソルキャリアが求人情報・転職サイトdodaで発表している「転職求人倍率レポート(2022年10月)」によると、IT業界の求人倍率は、5.95倍です。

IT不足の背景として、ここでは「労働人口の減少」と「DX化に対応できる人材不足」について解説します。

労働人口の減少

I T人材が不足している理由は、日本の労働人口減少です。

厚 生労働省が令和2年に発表した「労働力人口・就業者数の推移」によると、労働力人口・就業者数推移は、1989年には8,552万人でしたが、2019年には7,510万人に減少しています。

また、総務省統計局が発表した「高齢者の人口」では、2021年9月時点で65歳以上の高齢者は3,640万人と前年よりも22万人増加しています。

●労働人口の減少
●労働人口の高齢化

上記2つが原因で、IT人材の供給不足を引き起こしているといえるでしょう。


DX化に対応できる人材の不足

DX化(デ ジタル技術によるビジネスの改革)に対応できるDX人材の不足も理由 の1つです。DX人材とは、デジタル技術やデータ活用に精通した人材を指します。

近年、企業が業務の生産性や効率性向上を目的として、DXを導入するケースが増えています。しかし、DXの需要と反対に、DX人材は不足しているのです。

理由は、高度なIT人材が不足しているためです。業務をデジタル化するには、システム開発や運用を行う従来型IT人材だけでなく、サービスに付加価値をつける高度なIT人材が必要となるでしょう。

高度なIT人材として、以下が挙げられます。

●プ ロダクトマネージ ャー
●データサイエンティスト

まずは、プロダクトマネージャー です。DX化する際に、サービスやシステムの目標を立てチームを率いる事が仕事です。マネジメントスキルだけでなく、ITや商品知識、システム開発経験なども求められます。

また、データサイエンティストも高度なIT人材として挙げられます。事業に必要なデータを集め、分析から解析まで行う仕事です。統計学や数学の知識、IT知識などが求められるでしょう。

今後需要が高まっていくIT業界の職種

今後需要が高まるIT人材とは、どのような職種なのでしょうか。

需要が増えるIT人材は、サービスに付加価値をつけられる高度IT人材です。また、セキュリティ技術に長け、AIやビックデータを扱える人材も挙げられます。

ここでは、AIエンジニアとセキュリティエンジニアについて解説します。

AI エンジニア

AIエンジニアの仕事は、AI開発やAIを用いたデータの分析です。

AIエンジニアが求められる背景は、AI利用のニーズが増えていることです。AI活用により、業務効率化やサービスの付加価値向上につながるメリットがあるでしょう。

AIエンジニアの具体的な仕事内容は、以下の通りです。

●機械学習の設計
●データ分析

機械学習とは、人間と同じ学習をAIが行うことです。言いかえると、AIがデータを参考に自ら学習して、設計を行う仕組みづくりをします。AIエンジニアは、機械学習の設計として、AIがデータ収集から解析まで行えるようにプログラムを組む仕事です。そのため、高度なプログラミング技術が必要となるでしょう。

また、データ分析もAIエンジニアの仕事として挙げられます。AIエンジニアにおけるデータ分析とは、AIが収集、解析したデータを元に商品やサービスの課題解決の提案をすることです。そのためデータ分析を行う際には、プログラミングスキルだけでなく、コンサルティング能力も必要とされるでしょう。

セ キュリティエンジニア

セ キュリティエンジニアとは、セキュリティ業務に特化したエンジニアです。セキュリティシステムの開発やサイバー攻撃を防ぐ設計を行います。

セキュリティエンジニアが求められる理由は、近年のIT化によるものです。IT化の進行によりサイバー攻撃が増えています。従って、事業を安全に継続させるために、セキュリティの強化が必要とされています。

セキュリティエンジニアの仕事内容は、以下の3点です。

●セキュリティ診断
●セキュリティ設計と実装
●セキュリティシステム保守、運用

セキュリティ診断は、既存システムのセキュリティの脆弱性やリスクを調査します。セキュリティ診断が完了した際には、セキュリティをより強固にする対策や改善まで行います。

セキュリティ設計は、システム上でセキュリティ対策を行うための設計書を作成することです。そして、設計書に落としこんだものをネットワークやサーバーなどにセキュリティ対策として実装します。

セキュリティシステムの構築後には、保守と運用が必要です。現在IT分野では、常にさまざまなウイルスやサーバー攻撃の脅威があります。そのため、セキュリティシステムの更新や通信データの監視、ログファイルチェックなどの保守運用を行う必要があるでしょう。

高度なIT人材となり、自らのキャリアプランを描いていく

IT人材は現在不足しており、2030年には79万人不足すると考えられています。IT人材不足の背景として、労働人口の減少やDX化に対応可能な人材の不足が挙げられます。

また、需要のあるIT人材は、高度IT人材と呼ばれ、AIエンジニアやセキュリティエンジニアが挙げられるでしょう。

IT業界に興味のある方は、高度なIT人材を目指してキャリアを描きましょう。