サードパーティークッキーの仕組みとは?規制の理由や代替技術を解説
昨今、サードパーティークッキーの規制が行われており、「自社のビジネスにどのような影響があるのだろうか」と思っている方もいるでしょう。
そこで本記事では、サードパーティークッキーの仕組みや規制理由、代替技術を解説します。サードパーティークッキーの概要や今後の動向を理解することで、自社のマーケティング成功につなげられます。
サードパーティークッキーを把握して、マーケティング手法を見直しましょう。
企業が知るべきサードパーティークッキーの仕組み
そもそも、cookie(クッキー)とは、Webサイト上にユーザーが訪問した際に、入力情報や行動記録を一時的に保管できる仕組みを指します。ユーザーがログイン情報を忘れていても、クッキーが有効になっているとログインできるのです。
そして、ユーザーが訪問したWebサイト内だけでなく、それ以外のWebサイトからも発行されるcookieを「サードパーティークッキー」といいます。
具体例として、Aサイトに訪れているが、広告はBサイトに紐づけられているといった事例が挙げられます。Aサイトだけに情報が保存されるのではなく、Bサイトからでも追跡できるようになっているのです。
広告主は、1度自社サイトに訪れたユーザーがほかのサイトに訪問しても追跡可能なため、以下2点のような手法でサードパーティークッキーを利用しています。
- リターゲティング広告
- アトリビューション分析
リターゲティング広告とは、自社サイトや商品に興味を持ったユーザーに対し、そのユーザーがほかのサイトに訪問しているときでも、訴求ができる広告手法です。広告主の商品に関心があるため、商品の購買につながりやすい傾向にあります。
アトリビューション分析とは、ほかのサイトに訪問している際でも、ユーザーの行動履歴を解析して、広告の貢献度を分析することです。購入に至るプロセスを分析して、どの広告がユーザーに刺さったのかを判断できます。
このように、企業はサードパーティークッキーを利用して、広告成功につなげる取り組みをしているのです。
プライバシー保護のためのサードパーティークッキー規制
ここまで、サードパーティークッキーの仕組みを解説してきました。サードパーティークッキーは、広告主にとって非常に便利な仕組みです。しかし、ユーザー側に、「個人情報が漏れている」といった不信感を抱かせることにつながります。
ユーザーファーストな視点から考えると、問題がある仕組みといえるでしょう。
そのためサードパーティークッキーは、企業だけでなく国からも規制されるケースがあります。
国の規制
サードパーティークッキーの規制について、以下の点から解説します。
- EU
- 改正電気通信事業法
- 総務省
EU (欧州連合)では、ユーザーのサイト訪問時に、cookieを許可する事前同意取得を義務づけています。また、サイト運営者がcookieデータを第三者に販売する場合には、削除できるバナーの設置も義務づけています。
一方で、日本では改正電気通信事業法が制定されました。これは、「広告の関連情報を事前にユーザーに通知」「cookieをあとから拒否できる」といった内容を企業に義務づけています。
ほかにも、総務省では、サードパーティークッキーのデータを利用した広告に対する規制の方向性を公開しています。例えば平成30年10月22日に、Facebook社に対し、以下の状況について改善するよう指導しています。
「サイトを観覧した場合、いいねボタンを押さなくても、ユーザーIDやアクセス、閲覧履歴などがFacebook社に送信される」
このように日本では、国家や企業によるサードパーティークッキーの規制が進んでいます。しかし、「cookie情報を第三者に販売する際の同意」の規制がない点から、今の段階では、EUよりも規制が弱いといえるでしょう。
企業の規制
日本や海外企業の検索エンジンでは、サードパーティークッキーの規制に対して以下のような見解を示しています。
企業 | サードパーティークッキーの規制 |
---|---|
Google Chrome | 2024年にブロック予定 |
Safari | 全面ブロック |
Edge | トラッカーは規制対象 |
Yahoo! | 未定 |
海外企業では、サードパーティークッキーの禁止が行われていますが、日本では規制されていない傾向にあります。
日本の代表的な検索エンジン「Yahoo!」を展開しているヤフー株式会社では、サードパーティークッキーについて以下のように言及しました。
「Yahoo!では、利用者情報が、パソコンやスマートフォン端末からパートナー、企業へ外部送信される場合があります」
日本では、現在、改正電気通信事業法によってのみ規制がされているため、海外のような対応ができていません。今後の取り組みに期待できます。
サードパーティークッキーに代わる代替技術
サードパーティークッキーは、規制の厳格化が予想されます。サードパーティークッキーの規制により、企業はマーケティング手法の変化に対応しなければなりません。
サードパーティクッキーの代替技術は、どのようなものが利用できるのでしょうか。本項では、マーケティング・ミックス・モデリングという手法を解説します。
マーケティング・ミックス・モデリング
「マーケティング・ミックス・モデリング」は、大量のデータを統計的に分析する手法です。
サードパーティークッキーの代替技術は、さまざまなものがあります。例えば、デバイスに関する情報からユーザー特定をする手法である「デバイスフィンガープリンティング」や広告のトラッキングができる「プライバシーサンドボックス」です。しかし、サードパーティークッキーと同じく個人が特定されるため、今後規制対象になる可能性があります。
そのため、マーケティングを実施した際の大量のデータを統計的に分析するマーケティング・ミックス・モデリングと呼ばれる手法が商品購買に効果的です。理由は、個人情報を取得せずに、マーケティング全体における効果を数値化することにより、「どのような広告手法が最適か」といった分析が容易になるからです。
具体的には、プロモーション方法や価格、気候、マクロ経済などの観点を考慮しながら、数値化し、マーケティン施策の貢献度を分析します。これにより、プライバシー流出の問題を起こさずに、マーケティング成功につなげられるでしょう。
さらに、マーケティング・ミックス・モデリングには、データの蓄積や数学的な処理が必要です。そのため、システムを使いこなせたり、データを収集・分析できたりする人材が求められるでしょう。
今後のサードパーティークッキーの動向を把握して、自社のマーケティングにつなげる
本記事では、サードパーティークッキーの概要やメリットについて解説しました。サードパーティークッキーは、個人情報の観点から問題があるため、マーケティング・ミックス・モデリングといった代替方法が効果的です。
本記事で解説したように、時代の流れにより企業が変わるべきことを理解する必要があります。以下の記事では、昨今話題になっているWeb3について解説しています。「Web3を理解して、ビジネスに活かしたい」という方は参考にしてください。