さまざまなIT資格(国家資格・ベンダー・ベンダーニュートラル)その種類と難易度について

IT系企業に就職、または転職したいと思った時、持っておきたいのが「IT資格」。

ただし、IT資格の種類はたくさんあり難易度も異なってくるため、どのようなものがあるのかわからない方も多いかもしれません。

そこで本記事では、これからIT系への就職や転職活動を本格的に検討したい方のために、IT資格の種類と難易度などをあわせてご紹介いたします。

■さまざまなIT資格について

IT系の資格を分類すると、大きく2つに分けることができます。

国家資格

民間資格(ベンダー資格・ベンダーニュートラル資格)

1.国家資格とは?

国家資格とは、経済産業省が所管するIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が行っている信頼度の高い資格のことです。

1-1.国家資格のメリット

国家資格を取得するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

①国家資格に有効期限がない

国家資格は一度取得すると有効期限がありません。そのため、数年おきの更新が不要なので「うっかり失効」もないのがメリットです。

②受験料が比較的安い

民間資格と比較すると受験料が安い傾向があります。

③(国内の企業なら)転職時に能力証明できる

 日本のIT企業であれば知っている人が多い資格となり、転職する際も評価につながりやすくなります。

2.ベンダー資格とは?

ベンダー資格とは、ハードウェアやソフトウェアなどを販売しているベンダーが実施する試験で得られる資格のことです。主に自社製品の操作技術や管理技術を満たしているかを測定する試験内容となります。試験の運営はベンダー企業やその関連団体などが行っています。

2-2.ベンダー資格のメリット

ベンダー資格を取得するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

①特定の知識・スキルが身につき、実務に活かせる

ベンダー資格は専門的な内容のため現場の実務にも活かしやすく、即戦力として強くアピールすることができます。

受験の機会が多い

ベンダー資格試験は、民間であるベンダーが実施しているため、1年に何度も受験する機会があります。1年に1回程度の国家資格と比較すると、何回も受験のチャンスがあるという点でメリットと言えます。

③世界基準の資格として認知されている

国家資格は、主に国内で認知されているIT資格である一方、ベンダー資格の中には世界で通用するものも多くあります。取得しておくことで、世界の企業を相手に仕事をする機会にもつながります。

3.ベンダーニュートラル資格とは?

ベンダーニュートラル資格とは、特定のベンダーではなく、中立的な立場で開発される資格のことです。

ベンダーニュートラル資格のメリット

ベンダーニュートラル資格を取得するメリットとして、以下の3つが挙げられます。

①実務に活かしやすい

ベンダーニュートラル資格は、実務に近い問題が多く出題されるため、TT分野の知識や技術を身につけることができます。

②会社に技術や知識がある人と認められる

ベンダーニュートラル資格の中には難易度が高いものも多く、取得していることで所属する会社からも評価されやすくなり、昇給などにつながる可能性が高まります。

③就職や転職に有利になる

IT系企業への就職・転職をする際、ベンダーニュートラル資格を持っていることで有利になります。

信頼性が高く、一度取得すれば一生使える国家資格に対し、民間資格(ベンダー資格・ベンダーニュートラル資格)は、より実務的で即戦力であるといったアピールになるようです。次のトピックでは、いよいよIT資格の種類や難易度、合格率などをまとめてご紹介します。

■さまざまなIT国家資格14種

ここからは、さまざまな国家資格の概要と難易度、合格率をご紹介いたします。 難易度は、難関・やや難関・普通・やや易しい・易しいの五段階で表示しています。資格を探す上での一つの指標として参考にしてください。

国家資格14種】

資格名概要難易度合格率
ITパスポート(IP)情報技術に関する基礎的な知識をもち、情報技術に携わる業務に就くか、担当業務で情報技術を活用していこうとする者を対象とした資格です。やや易しい51.7%
基本情報技術者(FE)情報技術全般に基本的知識・技能をもち、実践的活用能力を身につけた者(情報システム開発プロジェクトにおいて、プログラム設計書を作成・プログラムの開発、単体テストまでの一連のプロセスを担当する者、または将来そうした業務を担当する者を含む)を対象とした資格です。やや難関25.7%
応用情報技術者(AP)高度IT人材に必要な応用的知識・技能をもち、方向性を確立した者を対象とした資格です。 情報技術を活用した戦略立案に関する知識が要求されます。難関22.3%
ITストラテジスト(ST)企業の経営戦略に基づき、企業活動での特定のプロセスに情報技術を活用し、改革・高度化するための基本戦略を策定・提案・推進する者、また組み込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者などを対象とした資格です。難関15.4%
システム監査技術者(AU)非監査対象から独立した立場で、情報システムなどに関するリスクやコントロールを総合的に点検・評価し、監査結果を経営者に報告し、改善を勧告する者を対象とした資格です。難関14.6%
プロジェクトマネージャ(PM)システム開発プロジェクトの責任者として、計画立案、必要な要員や資源確保、予算・納期・品質の達成について、責任をもって管理・運営する者を対象とした資格です。難関14.1%
ITサービスマネージャ(SM)情報システム全体について安定稼働を確保し、継続的な改善、品質管理など、安全性と信頼性の高いサービスの提供を行う者を対象とした資格です。難関14.7%
システムアーキテクト(SA)情報システム、または組み込みシステム開発に必要な要件を定義し、実現のためのアーキテクチャを設計し、情報システムについて開発を主導する者を対象とした資格です。難関15.3%
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES)組み込みシステム開発に関する幅広い知識や技能を活用し、最適な基盤の構築や組み込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う者を対象とした資格です。難関16.0%
データベーススペシャリスト(DB)データベースに関する固有技術を活用し、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者を対象とした資格です。難関14.4%
ネットワークスペシャリスト(DB)ネットワークに関する固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行うものを対象とした資格です。難関14.4%
情報処理安全確保支援士(SC)情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守において、情報セキュリティポリシに準拠してセキュリティ機能の実現を支援する者などを対象とした資格です。難関19.1%
情報セキュリティマネジメント(SG)情報セキュリティマネジメントのPDCAサイクル(計画・運用・評価・改善)を通して、組織の情報セキュリティ向上に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する資格です。易しい49.4%
ウェブデザイン技能検定インターネット上のホームページを装飾・設計・構築することを指し、ウェブデザイン技能検定ではインターネットについての基本的知識やサイトの運営・管理・ウェブデザインの技術・法務(知的財産権及び関連する権利についての一般的な知識)などについて、学科および実技で問われる資格です。1級:やや難関 2級:普通 3級:やや易しい1級:66.6%
2級:25.1%
3級:71.0%

■さまざまなIT民間資格(ベンダー5種+ベンダーニュートラル10種)

次はさまざまな民間資格の概要と難易度をご紹介いたします。

(合格率は各団体が非公表と発表しているため、そのまま記載いたします。)

ベンダー資格5種】

資格名概要難易度合格率
AWS認定Amazonが提供するクラウドサービスの専門知識を認証し、スキルレベルの評価を行う認定資格です。 AWSエキスパートと協力して、一般的なクラウドジョブロールで必要な経験と特定の技術分野での専門知識の基準を設けています。AWS認定試験のいずれかを受けて合格すると、その基準を満たしていることを示すことができます。 現在、11の認定区分があります。ベーシック:易しい アソシエイト:普通 プロフェッショナル: やや難関非公表
ORACLE MASTER日本オラクル社が公式に運営するOracle Databaseシリーズを扱う技術力を認定する資格です。 データベースの管理・運用のほか、SQLの習熟度を問う問題が出題されます。 現在、4つのグレードがあります。 以前は日本国内のみの資格でしたが、2003年10月の制度改定以後、日本国外で実施されている Oracle Certification Program (OCP) との連携もとれるようになりました。(Silver以上のみ)Bronze:やや易しい Silver:普通 Gold:やや難関 Platinum:難関   ※上位の試験を受験するためには、下位試験に合格することが必要となります。非公表
Java SE 11 認定資格Javaアプリケーション開発に必要とされる基本的なプログラミング知識を有し、上級者の指導のもとで開発作業を行うことができる開発初心者向けの資格です。Bronze:やや易しい Silver:普通 Gold:難関非公表
マイクロソフト認定資格プログラム (MCP)アメリカのMicrosoft Corporationが実施する、マイクロソフト製品に対する知識と技能をレベル別に認定する資格です。基本資格:やや易しい 上位資格:普通非公表
シスコ技術者認定Ciscoシステムズ社が認定するネットワークのスキルを証明する資格です。 Cisco技術者認定資格には、認定レベルと認定分野があり、認定レベルによって難易度が変わります。 ネットワーク技術の入門レベル(エントリー)から、世界的にも高く評価される上級レベル(エキスパート)まで幅広く設定されています。エントリー:易しい アソシエイト:やや易しい プロフェショナル:普通 エキスパート:やや難関 アーキテクト:難関非公表

【ベンダーニュートラル10種】

資格名概要難易度合格率
ETEC一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が開発・運営する、組込みソフトウェア技術者向けの試験です。 合否判定は出ず、理解度や活用運用能力が分野ごとに客観評価される仕組みで、獲得点数に応じてグレード(A~C)で評価されます。 試験は「組込みソフトウェア技術者試験クラス2」と「組込みソフトウェア技術者試験クラス1」があります。 クラス1の受験資格は、クラス2で500点以上のスコア取得者が対象となります。①組込みソフトウェア技術者試験クラス2 グレードC<グレードB<グレードA   ②組込みソフトウェア技術者試験クラス1 グレードC<グレードB<グレードA非公表
PMPアメリカのPMI本部が運営しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。 プロジェクトマネジメントに関する経験・教育・知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されています。PMP:難関   近年に実施された試験では、従来の知識を問う問題から、プロジェクトマネージャとしての行動などを問う問題などの実践に即した問題が出題されるようになり、難化傾向が増しています。非公表
XMLマスターXML、およびXML関連技術についての技術力を測る技術者認定制度です。取得することで、個人の技術力の強化を図れるとともに、顧客満足度を向上させることも可能となります。 またITエンジニアとしての雇用や昇進、キャリアプランニングに対しても確実な指標となります。ベーシック:やや易しい プロフェッショナル:難関   ※上位の試験は、下位試験に合格していることが前提となります。非公表
Ruby技術者プログラミング言語Rubyのシステムを設計・開発・運用するエンジニア、Rubyでシステム提案を行うコンサルタント、Rubyを教える講師及びRubyを学ぶ学生などを対象とした認定制度です。 認定者はRuby技術者としての技術力を公正に評価され、高い水準のRubyによるシステム開発能力を持つことを認定されます。シルバー:やや易しい ゴールド:普通   ※上位の試験に合格するためには、下位試験にも合格していることが必要となります。非公表
UMTPシステム開発の上流工程において用いられる国際規格のモデリング言語であるUMLを使ったモデル構築のための知識とスキルを測る認定試験です。L1:やや易しい L2:やや易しい L3:普通 L4:普通   ※上位の試験を受験するためには、下位試験に合格することが必要となります。非公表
LPICLinuxの技術者を認定するための試験です。カナダに本部を置くNPO法人Linux技術者認定機関LPI日本支部によって運営されています。グローバルな資格としても認知されています。LPIC-1:普通 LPIC-2:普通 LPIC-3:やや難関   ※上位レベルの認定は下位レベルの認定が必須となります。非公表
ITコーディネータ経済産業省が推奨している民間資格で、ITと企業経営両方の知識を持ち、経営者の経営戦略を実現するIT化支援サービスを行う専門家、もしくはその資格名のことです。 取得するためには、ITコーディネータ試験を合格し、かつケース研修の受講・修了という2つの条件をクリアする必要があります。ITコーディネータ:普通55~72%
Linux技術者認定(LinuC)Linuxの知識を問う資格で、LPICを実施する団体は違うものの、試験内容、範囲、難易度に応じた3つの試験レベル体系は同じです。 LPI-JapanはLPIC試験の日本窓口でしたが、2018年3月1日以降より日本語での情報を充実させたLinuC試験を開始しています。LinuCレベル1:普通 LinuCレベル2:普通 LinuCレベル3:難関  非公表

まとめ

いかがでしたか?IT資格には多くの種類があることがおわかりいただけたかと思います。

IT系に限らず資格全般に言えますが、ただ闇雲になんでも取得するのではなく、今後のご自身のキャリアを構築するにあたり、どんな資格が最適か、いつまでに取得しておくべきかをしっかりスケジュールを立てながら学習を進めることをおすすめいたします。