メンバーシップ型雇用とは?メリットや課題解決方法について解説!
メンバーシップ型雇用とは、どのような雇用形態なのでしょうか。耳にする機会は多いですが、はっきりと理解できていない方も多いでしょう。
今回は、日本企業の多くが取り入れているメンバーシップ型雇用の概要やメリット、ハイブリッド型雇用などについてわかりやすく解説します。
メンバーシップ型雇用についてしっかりと理解して、今後の会社選びにつなげましょう。
メンバーシップ型雇用とは?
├ メンバーシップ型雇用のメリット
└ メンバーシップ型雇用のデメリット
メンバーシップ型雇用の課題を解決する方法2選
├ ジョブ型雇用を取り入れたハイブリッド型雇用の導入
└ 社員研修の導入により、スキルアップを図る
メンバーシップ型雇用の特徴や課題を理解して、企業選びにつなげる
メンバーシップ型雇用とは?
メンバーシップ型雇用とは、勤務内容や勤務地を明確に決めずに契約する雇用形態です。長期的な雇用を前提としており、人事異動や転勤をしながら、人材育成を行います。
メンバーシップ型雇用は、日本で多くの企業が取り入れている形態です。経団連が公開した「2019年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、企業の役員の50.2%が新卒者の採用をメンバーシップ型雇用重視と回答しています。このようにメンバーシップ型雇用は、現在、企業が重視している雇用形態だといえるでしょう。
ジョブ型雇用との違いは、メンバーシップ型雇用が幅広い業務ができるゼネラリストを求めているのに対し、ジョブ型雇用では専門性の高い業務が可能なスペシャリストが求められることです。
では、メンバーシップ型雇用のメリットとデメリットは、どのような点が挙げられるのでしょうか。
メンバーシップ型雇用のメリット
メンバーシップ型雇用のメリットは、以下の2点が挙げられます。
- 雇用の安定
- 多様なスキルの獲得
まずは、雇用の安定です。メンバーシップ型雇用では、「人に対して仕事を与える」と捉えられているため、現在の仕事ができなくなった際に、部署異動といった対策が取られます。また、解雇規制が厳しいため、簡単な解雇や減給ができません。そのため、雇用が安定しているといえるでしょう。
また、多様なスキルを手に入れられる点もメリットです。メンバーシップ型雇用では、部署異動により職種が変わり、転勤で勤務場所が変わるといったさまざまな経験ができます。例えば、営業からエンジニアの仕事をしたり、東京から沖縄に転勤したりなど、あらゆる働き方を経験できます。それにより、多様なスキルを獲得でき、幅広い視野で仕事に取り組めるようになるでしょう。数年ごとに仕事の変化があるため、毎回新鮮な気持ちで取り組める点もメリットです。
メンバーシップ型雇用のデメリット
メンバーシップ型雇用は、企業側の都合により仕事が決まるため、以下のデメリットがあります。
- 会社都合による転勤や異動
- 生産性の低下
メンバーシップ型雇用は、仕事内容や勤務地を限定されていないため、会社都合の取り決めである人事異動や転勤に対応せざるを得ません。「現在の仕事で専門性を高めたい」と考えている場合や、「家族がいるため勤務地を変更したくない」といった際にも、企業の指示に従う必要があります。
そして、メンバーシップ型雇用のデメリットとして、生産性の低下も挙げられるでしょう。メンバーシップ型雇用では、年功序列が前提のため、20代や30代の若い従業員が成果を出し会社に貢献しても、給与に反映されづらくなります。それにより、モチベーションの低下につながり、生産性が低下するのです。
メンバーシップ型雇用の課題を解決する方法2選
メンバーシップ型雇用は、日本企業の多くが取り入れている雇用形態ですが、高齢化により労働人口減少が想定されるため、変革が求められています。
内閣府が発表した「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、日本の65歳以上の人口は28.9%となっています。今後も高齢化が進み、労働人口が減ると予想されるでしょう。そのため、時間をかけて新卒社員を育成するメンバーシップ型雇用では、労働人口減少に対応できないため限界があるでしょう。
また、近年ITの進歩により、エンジニアやデータアナリストなどのIT人材の需要が増加していますが、供給が追いついていません。それにより、新卒未経験で採用するよりも、即戦力のある人材が求められます。
さらに、テレワークや時短勤務といった働き方の多様化により、従来のメンバーシップ型雇用の改革が求められています。
このように、メンバーシップ型雇用には課題や変革の必要があるため、今後の解決が必要です。ここでは、解決方法として、ハイブリッド型雇用と社員研修の導入について解説します。
ジョブ型雇用を取り入れたハイブリッド型雇用の導入
メンバーシップ型雇用の課題を解決する方法として、ハイブリッド型雇用の導入が挙げられるでしょう。ハイブリッド型雇用とは、メンバーシップ型雇用とジョブ型雇用を取り入れた人事制度です。あらゆる仕事の経験ができるメンバーシップ型雇用のメリットと専門特化できるジョブ型雇用のメリットを両方取り入れられる点がメリットです。
そのほかにも、自身の専門スキルを磨きたい方と幅広い知識やスキルを身につけたい方が異なる評価制度を適用されます。それにより、評価に対する不公平がない点も特徴です。
ハイブリッド型雇用の事例として、三井住友海上火災保険株式会社が挙げられます。三井住友海上は、202[p]1年度からジョブ型雇用を取り入れた人事制度を導入しています。目的は、企業の多様性向上と、専門性の強化のためです。
導入方法として、専門社員の新設や適材適所に人材を配置する取り組みをしています。ジョブ型雇用を取り入れつつ、メンバーシップ型雇用のメリットも残した事例です。
社員研修の導入により、スキルアップを図る
社員研修を導入して、スキルアップを図ることも重要です。昨今では、ITスキルといった専門スキルの需要が増えています。そのため、社員が即戦力として働けるように、以下の社員研修が必要となるでしょう。
- 新人社員研修
- リーダーシップ研修
新人社員研修では、ビジネスマナーや今後の業務知識の獲得、コミュニケーションスキル、問題解決方法など、仕事をするうえで必要な基礎スキルを習得できます。新人社員研修の導入により、仕事の飲み込みが早くなり即戦力として活躍しやすくなります。
また、リーダーシップ研修も求められるでしょう。研修が求められる理由は、働く際に社員を管理する必要があるためです。管理職だけでなく、プロジェクトリーダーになる際にも必要となります。具体的なスキルとして、交渉力や判断力、マネジメント力が求められます。リーダー研修を通じて、チームを動かせる人材の育成が必要です。
メンバーシップ型雇用の特徴や課題を理解して、企業選びにつなげる
今回は、メンバーシップ型雇用の概要やメリット・デメリットについて解説してきました。メンバーシップ型雇用は、雇用の安定や多様なスキル獲得ができるメリットがある反面、生産性が低下するといったデメリットがあります。
また、メンバーシップ型雇用の課題を解決する方法として、ハイブリッド型雇用や社員研修の導入が挙げられます。
企業の雇用形態に興味のある方は、メンバーシップ型雇用について理解して、今後の企業選びにつなげましょう。